中小企業の解散。
経営不振じゃなくても、後継者がいなかったり、
突然体調をくずして経営存続が突然難しくなってしまったり・・・
さまざまな理由で、中小企業は解散となることがあるかと思います。
そもそも、私は自分の会社が解散するまで、
”解散”と言う概念すら知りませんでした。
ちゃんと、倒産とは差別化された言葉有るんですね(^^)
というわけで、会社が解散することになり、
「どんな手続きが必要なの?」
と言ったことを調べましたので、まとめたいと思います。
だってね、全然参考になるサイトがなかったんだもん。
弁護士や司法書士のサイトに、大まかにまとめられてはいましたが、
わかりにくいことこの上なかったので(ごめんなさい)
さっぱりわからない私のような事務員でもわかるように、
できるだけシンプルにまとめたいと思います。
ちなみに、私の勤め先は中小企業の中でも
従業員数数人のちいさな会社。
代表者一人だけの会社ではないので、
税理士(会計事務所)と司法書士に依頼できるところは委任するスタイルです。
ただし、それは事前に口外することになってしまうので、
まずは事務員の私が、解散について調べることになったのが始まりでした。
また、解散の法的な手続きとは関係ありませんが、
事務員が把握・必要に応じて報告する必要があると思う事項も
メモとして書いておきたいと思います。
尚注意点として、口外できずに自力で調べたことをまとめているので、
現実と少し異なる点も出てくるかもしれません。
あなたの事業所の場所によって、書類が多少異なる可能性がありますので、
そういった点についてはご了承くださいませ。
解散前に確認・準備しておくこと
・継続的に引き落とされる契約のピックアップと契約解除の方法について
(リースや賃貸、年契約で利用しているサービスなど)
※特に解約申告期日と、残りの日数にあわせて契約期間の変更や、解約後の清算の有無
・売掛金、買掛金の把握
・会社名義の個人使用品の名義変更方法の確認
(会社のものは文字通り会社のものですが、小規模の会社だと、
解散と同時に使用していた個人に、現物支給としてプレゼントされることがあるので)
・顧客と取引業者への解散の案内について打ち合わせ
・必要に応じて、履歴などデータを保管できるよう整理整頓
・解散後の手続きに必要な書類などの準備
解散後の手続きの流れ
①解散登記(法務局)
株主総会で解散が決定すると、その日が解散日となります。
また、「清算人」と言う人を選任します。
社長でOKだけど、会計事務所の税理士の先生が清算人になることも多いとのこと。
お願いできると、その後の手続きがスムーズになるかと思います。
そして、「解散登記」を行うもしくは行ってもらいます。
申請提出先:法務局
解散登記の申請について
費用:印紙代39,000円
依頼先:司法書士(自分で行っても可)
期日:解散日~2週間以内に申請(できるだけ早く)
必要書類:株式会社解散及び清算人専任登記申請書、定款、委任状(依頼する場合)、(臨時)株主総会議事録(税理士事務所に作成依頼)、印鑑届書(社印と同一でOK)、清算人の印鑑証明書
その他場合によって必要な書類:
取締役以外が清算人となる場合→就任承諾書、
裁判沙汰になっている場合→専任決定書正本(謄本)
解散登記が完了したら
完了必要日数:1週間弱
登記簿謄本(履歴事項証明書・現在事項証明書)を最低3部取得する。
3部の内訳:ハローワーク、県税事務所、市町村役場への申請
(他はコピーでも可)
もし雇用保険を適用していない会社であるなら(従業員がいないなら)、ハローワークは関係ないので2部でOK。
さらに、自分の控えが必要であれば、4部取得しておくか、コピーをとっておく。
ちなみに、よく勘違いしがちなのですが、
こういった謄本や印鑑証明書などの「写し」と「コピー」という表現があります。
写しは、法務局や役所でもらったもののこと。
コピーは、写しをコピー機・プリンターで印刷したもののことです。
慣れないと勘違いしがちなところなので、ご注意くださいね(^^)
②債権者への公告
最低債権申出期間:2ヶ月
公告回数:1回以上
この期間が過ぎるまで弁済を行ってはいけない。
一人債権でも、規模にかかわらず行うものらしいです、よ。
てか、公告てなんぞや?
法令上の義務により特定の事項を広く一般に知らせることを「公告」といいます。 (広告とは違います)
債権者や取引先などに重要な影響を与える事項を決定した際に 公告することが義務付けられています。
会社法で 公告する必要がある事項、公告の方法、公告の期間が定められています。
これに違反すると100万円以下の過料(罰金)という事になっています。引用元:https://kaisyasetsuritsu.jp/koukoku-html
へー。
でも、この公告するのに費用がそこそこかかるみたい。
ほんとに数人の小規模な会社でもやるのが一般的なのかなぁ?
ちょっと疑問なので、ここは税理士に相談したい内容です。
(まだ口外できないので、相談できていません。)
③社会保険の資格喪失届(事務センター)
解散するので、被保険者の資格喪失届だけでなく、適用事業所全喪届という書類も提出します。
要は、この人国民保険になりますよ。
でもって、社会保険に適用されてたけど、会社なくなりますよ。
っていう手続きの書類。
保険証の返却が必要なので、事前に回収するのをお忘れなく。
期日:5日以内
提出先:担当の事務センターへ郵送(郵送のみ受付)
必要書類:社会保険被保険者資格喪失届、保険証(被保険者のも)、適用事業所全喪届、雇用保険適用事業所廃止届のコピー又は解散登記の済んだ謄本のコピー
従業員への送付書類:健康保険被保険者資格喪失証明書
④離職票と雇用保険の適用事業所廃止(ハローワーク)
期日:10日以内
提出先:担当のハローワークへ持参
(郵送もOKだが、訂正があったら二度手間なのと、控えの返却があるため、窓口へ持参するのがおすすめ。)
離職票の手続きのための必要書類:
個人番号登録書(未登録の場合)、雇用保険資格喪失届、賃金台帳(13ヶ月分)、出勤簿(13ヶ月分)、離職証明書
雇用保険の適用事業所廃止のための必要書類:
雇用保険適用事業所廃止届、社印、解散登記済みの謄本
従業員への送付書類:離職票の控え2枚(即日もらえる)、雇用保険資格者証
⑤解散確定申告と異動届出書
解散確定申告(税理士・会計事務所)
今年度開始日から解散日までの確定申告を行う。
期日:2ヶ月以内
提出先:担当税務署
依頼先:税理士(会計事務所)
いつも決算書を税理士に依頼していたならこちらも税理士に、
いつも決算書を自分で作成していたならこちらも自分で申告する。
従業員への送付書類:源泉徴収票
異動届出書(税務署)
期日:すみやかに
依頼先:税理士
(自分で提出も可。郵送が一般的。)
必要書類:異動届出書
異動届出書は、住所氏名などはもちろんですが、
「異動事項等」欄→解散
「異動年月日(登記年月日」欄→解散日(解散登記日)
というように記入します。
また、「税理士署名押印」欄は、
この異動届出書を税理士が作成して提出した場合にのみ記入が必要です。
本人が提出する場合は空欄で大丈夫です。
※以前は解散登記の謄本の添付が必要でしたが、今は不要となったとのことでした。
⑥解散報告(県税事務所)
期日:2か月以内
提出先:担当の県税事務所へ郵送
(持参でも可だが、郵送が一般的)
必要書類:解散・事務所等廃止報告書、解散登記済みの謄本の写し
解散・事務所等廃止報告書の中に、
「関与税理士の住所及び氏名」という欄があるが、
別に税理士に依頼する書類というわけではない。
基本は送る1部のみで良いが、
もし受付印などが入った控えがほしければ、各2部+返信用封筒も送付する。
もちろん、返信分の切手を貼るのをお忘れなく。
⑦法人等設立・異動申告書(市町村役場)
期日:必要書類がそろい次第すみやかに
提出:郵送または市町村役場の窓口へ持参
必要書類:法人等設立異動申告書(設立を二重線で消す)、
解散登記済みの謄本の写し、解散確定申告書
異動申告書は、住所氏名などはもちろんですが、
異動に関する事項の
「異動(変更)年月日」と「登記年月日」欄を記入し、
「変更事項」欄は解散に○、
「異動(変更)内容」欄は空欄で良いとのことでした。
⑧残余財産の確定
解散確定申告後から最終の清算の申告の準備にはいります。
資産で売れるものについてはなるべく現金化し、銀行口座や現金については、
売掛金や買掛金の支払いや引き落とし待ちのもの、
そして、反対に振り込み待ちのものなどの取引を、全て完了させます。
また、最終口座解約までは利息がつくので、利息でも残余財産が変化するので注意です。
そして、残余財産確定日(一般的に口座解約日)を決め現金化したら、
先ずは債務返済に充てます。
ちなみに、
(残余財産-返済債務)-(税金)-(清算費用)=分配できる金額
とのことでした。
この分配できる金額(一人なら全額)が、
この何年間か、何十年間かわかりませんが、
頑張ってきた事業の利益ということになります。
どんな結果でも、頑張ってきた自分自身にお疲れさまでしたと
労ってあげてほしいなぁと個人的には思います。
⑨決算報告書の作成(税理士・会計事務所)
依頼先:税理士(会計事務所)
いつも決算書を税理士に依頼していたならこちらも税理士に、
いつも決算書を自分で作成していたならこちらも自分で申告する。
なんとも不思議な感じですが、
いつもなら支払ったタイミングで計上している税金や清算にかかる費用を、
事前に計上しないといけません。
税理士さんにお任せしているなら心配なしだと思います。
⑩株主総会と清算結了日
株主総会を開いて、決算報告書の承認を得ます。
要は、現金(債権)がいくらあって、そこからいくら払って(費用)、
残余財産の金額と、1株いくらもらえるの?
っていうところがポイントになるようです。
そして、株主総会の日が清算結了日となります。
ちなみに、最初の解散の日から、2ヶ月+1日経っていないと、
後から登記の時に
「きちんと公告したの?」
って言われるらしい(え。。。)
一人会社の場合、こういうのって形式上なだけになるのにね。
ほんと融通きかんわ~
⑪清算結了登記(法務局)
こちらも、清算結了日の更に翌日(解散日から2ヶ月+2日)以降に行うものだそうで、
清算結了登記という文字通り、清算結了日=株主総会で報告した、
・債権
・費用
・残余財産
についてまとめた決算報告書を提出するそうです。
依頼先:司法書士 税理士にも一部書類作成をお願いするのかも。
で、ややこしいのが、
この法務局に提出する決算報告書と、税務署に提出する決算報告書は、
同じじゃない ということでした。
法務局の決算報告書
資産総額、経費総額、残余財産額、分配額が確認できる形式
税務署の決算報告書
貸借対照表、損益計算書
⑫清算結了申告書(税理士・会計事務所)
清算結了登記を申請したら、
税務署(国税)、県税事務所(県税)、市役所(市税)への清算結了申告書を作成します。
申告書は通常の確定申告書と同じ様式でいいそうです。
依頼先:税理士(会計事務所)
⑬閉鎖登記簿(法務局)
⑪で申請した登記が完了したら、
閉鎖登記簿(閉鎖事項証明書・全部事項証明書)を最低2部取得する。
(登記の処理状況は、こちらから電話確認をしないといけないそうです。)
2部の内訳:県税事務所、市町村役場への申請
自分の控えが必要であれば、3部取得しておくか、コピーをとっておく。
ちなみに、この取得費用もあらかじめ計上しておかなければいけません。
1部700円くらいとのことですが、
変わってるといけないので、事前に担当法務局に確認ください。
⑭異動届出書(税務署)
依頼先:税理士
(自分で提出も可。郵送が一般的。)
必要書類:異動届出書、清算結了申告書
異動届出書は、住所氏名などはもちろんですが、
「異動事項等」欄→結了
「異動年月日(登記年月日)」欄→清算結了日(清算結了登記日)
というように記入します。
また、「税理士署名押印」欄は、この異動届出書を税理士が作成して
提出した場合にのみ記入が必要です。
本人が提出する場合は空欄で大丈夫です。
※以前は解散登記の謄本の添付が必要でしたが、
今は不要となったとのことでした。
⑮清算結了報告書(県税事務所)
期日:清算結了登記後1ヶ月以内
提出先:担当の県税事務所へ郵送
(持参でも可だが、郵送が一般的)
必要書類:清算結了報告書、清算結了登記済みの謄本の写し
(あれ?清算結了申告書は?県税事務所に問い合わせたら、上記2種類しか言われなかった!)
清算結了報告書の中に、
「関与税理士の住所及び氏名」という欄があるが、
別に税理士に依頼する書類というわけではない。
基本は送る1部のみで良いが、
もし受付印などが入った控えがほしければ、各2部+返信用封筒も送付する。
もちろん、返信分の切手を貼るのをお忘れなく。
⑯法人等設立・異動申告書(市町村役場)
期日:必要書類がそろい次第すみやかに
提出:郵送または市町村役場の窓口へ持参
必要書類:法人等設立異動申告書(設立を二重線で消す)、清算結了登記済みの謄本の写し、清算結了申告書
異動申告書は、住所氏名などはもちろんですが、
異動に関する事項の
「異動(変更)年月日」欄=清算結了日と「登記年月日」欄=清算結了登記日を記入し、
「変更事項」欄は清算結了に○、
「異動(変更)内容」欄は空欄で良いとのことでした。
⑰帳簿の保存
お疲れ様でした!
手続きは以上になります。
あとは、清算人が帳簿や株主総会の議事録、確定申告書の控えなどの書類を、
清算結了日から10年間保存をすることになります。
中小企業の会社の解散!どんな流れで進めるの?17の手続きのまとめ
手続きがたくさんあって不慣れなことに戸惑いそうですが、
まずはこちらのページで全体の流れを把握していただき、
特に最初の方の手続きは、何日以内というのがけっこうはっきり明記されているので、
事前に書類の準備等、しっかり確認しておきたいものですね(^^)
そして、スムーズに解散手続きが完了できますように♪
ちなみに、解散手続きを代行してくれたり、サポートしてくれる業者さんや、
解散後の書類の保管を委託できる会社さんもあるようです。
正直面倒くさいから依頼したい!
書類を保管する場所がない!
そんな方は、そういったサービスを利用するのもいいかもしれません。
もちろん、それらの費用を、事前に経費に計上することもお忘れなく。